2014年の企業倒産件数は9180件と、2013年の1万332件に比べ11.1%減少し、8年ぶりの1万件割れとなった。減少率11.1%は、2000年以降では2010年(12.4%減)に次ぐ水準である。
倒産件数が大幅に減少している背景には、復興需要をはじめとする公共工事の増加、消費税率引き上げ前の駆け込み工事などを受け、建設業の倒産が減少していることがある。2014年の建設業の倒産は1859件(前年比20.8%減)となり、6年連続の前年比減少。また、月ベースでみても、12月(136件)が前年同月比7.5%の減少となったことで、2012年10月以降27カ月連続で前年同月を下回った。これは、2003年9月から2005年5月までの21カ月前年同月比減少の連続記録を抜き、2000年以降の最長記録となっている。
2014年は、上場企業の倒産が1990年以来24年ぶりに発生しなかった。2013年8月のワールド・ロジ(ジャスダック、破産)以降16カ月連続で発生しておらず、上場企業の倒産未発生期間としては、1964年の調査開始以降3番目の長さとなっている。背景には、株価上昇や量的金融緩和策などで資金調達環境が改善したことがある。事業再生ADRの広まりも一因だ。同制度は、2014年3月末までに50件の手続利用申請があり42件が受理された。そのうち16件が上場企業である。こうした状況下、2015年も上場企業の倒産が発生し難い地合いが続くとみられる。
ただし、法的整理を用いても事業再生が見込めず、破産手続きを選択する割合が高まったことも2014年の特徴である。民事再生法による倒産が291件と同法施行(2000年4月)以降で最少の件数となった。2013年(前年比27.9%減)、2014年(同12.1%減)と2年連続で2ケタの大幅減少で、ピーク時(2001年:965件)の3分の1以下。言い換えれば、再建型の法的整理を選択する企業が減少しているということだ。大手企業を中心として“アベノミクス”による経営環境改善の恩恵を受けている企業がある一方、経営改善が進まない企業については再生の余地なく破産手続きを取らざるを得ないという状況が年々顕著になってきており、この状況は2015年も続くであろう。
また、倒産件数の押し下げ要因となった建設業でも、近時では資材不足、職人不足が倒産に結び付くケースが散見されるように、資材価格高騰、労務費高騰が建設業者の収益に大きな影響を与えている。また、地方の建設業者の拠り所となっている公共工事も、公共工事前払金保証実績が2014年8月から11月まで4カ月連続で前年同月比減少となるなど、一時の勢いを感じられなくなっているのも現実だ。今後、地方の中小零細建設業者など資本力の弱い下請け業者を中心とした淘汰が進めば、それにより建設業の倒産件数が前年同月比増加に転じる局面を迎えることが想定される。さらに今年は、地域金融機関の再編を通して、資金調達環境が変化する可能性がある。2014年は1万件割れとなった企業倒産件数であるが、2015年はこうした倒産増加要因をもにらみながら、一進一退で推移するものとみられる。