産業の新陳代謝か“塩漬け”か

栄枯盛衰企業倒産
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2014年度上半期の企業倒産件数は4750件と、2013年度上半期の5320件に比べ10.7%減少、5年連続で前年同期を下回った。四半期別では10期連続の前年同期比減少、月別では上半期6ヵ月すべての月で前年同月比減少となった。背景には、公共工事の増加や駆け込み需要の効果で建設業が引き続き減少したことに加え、輸出関連の大手メーカーの業績回復もあり製造業と卸売業が前年同期比2ケタの減少となったことがある。

2014年度上半期の建設業の倒産は2012年10月以降24ヵ月連続で前年同月を下回っている。これは、2003年9月から2005年5月までの21ヵ月前年同月比減少の連続記録を抜き、2000年以降の最長記録である。しかし、近時では資材不足、職人不足が倒産に結び付くケースが散見されているほか、地方の建設業者の拠り所となっている公共工事は今後の財政出動の規模次第という危うさもある。月ベースの倒産件数では、2014年度上半期の6ヵ月中4ヵ月が前月比増加となっており、今後、資本力の弱い下請け業者を中心とした淘汰が進めば、それにより建設業の倒産件数が前年同月比増加に転じる局面を迎えることが想定される。

また、倒産件数を地域別にみると、9地域中7地域で前年同期を下回った。しかし、東北(185件、前年同期比5.1%増)、四国(95件、同6.7%増)の2地域は増加している。この2地域の倒産を業種別にみると、大幅に件数が増加しているのは共通して製造業であり、東北(36件)は前年同期比56.5%増、四国(16件)は同77.8%増である。地方の製造業では過剰債務を抱えている企業は珍しくない。また、2次請け、3次請けの製造業者においては、近年、得意先メーカーが生産拠点を海外へ移転することへの対応を迫られるケースも多い。

こうした企業は、“産業の新陳代謝”の流れのなかで変革を求められていると言える。地域経済活性化のためには、地域における各産業や個別企業の生産性向上が不可欠。赤字体質の企業や、構造的な経営課題を抱えている企業は、“塩漬け”や“先延ばし”といった小手先の延命策ではなく、抜本的な経営改善が急務となっている。政府は「日本産業再興プラン」として、地域のベンチャー企業支援策や、中小企業の競争力強化に向けた取り組みを推し進める方針だ。この地域活性化プラットフォームのなかで収益性・生産性を向上させ、抜本的な経営改善を果たす企業が出てくることが期待されている。

経営コンサルタント。企業分析をもとに、採用・育成などの人材戦略を手掛けている。2000社を超える取材・インタビュー経験を有し、現在は約100のクライアント企業を抱える。経営者、人事担当役員・責任者から生の声を得ながら、「エコノミスト」「ダイヤモンド」等の週刊誌、「Wedge」「選択」等の月刊誌に幅広く執筆中。

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