資材不足や職人不足

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2014年上半期の倒産件数は4756件と、2013年上半期の5310件に比べ10.4%減少、5年連続で前年同期を下回り、リーマン・ショック前の水準となった。また、月ベースでみても、2014年6月の倒産件数は847件(前年同月比6.5%減)で、11ヵ月連続の前年同月比減少を記録している。

これは、震災復興工事、“アベノミクス”、財政出動、予算執行前倒しなどを背景に、建設業の倒産件数が大幅に減少していることにより、全体の件数が押し下げられた結果と言える。2014年上半期の建設業の倒産は943件(前年同期比23.8%減)となり、5年連続の前年同期比減少。地域別でも、北海道から九州まですべての地域で前年同期を下回っている。また、月ベースでみても、2012年10月以降、21ヵ月連続で前年同月比減少。建設業の倒産が減少しているのは明らかだ。

しかし、近時では資材不足、職人不足が倒産に結び付くケースが目立ち始めた。「職人不足から工期遅延が発生し違約金を請求された」(東京都)、「建築資材、下請代金の高騰分を価格転嫁できなかった」(兵庫県)、「建機確保のため、使用しない期間も借り続け赤字が膨らんだ」(大分県)といった事象が倒産の一因となった例がある。金融庁が、公共工事の前倒し実施に伴うつなぎ資金・運転資金需要に対し、新規融資を含む積極的な資金供給等の支援に取り組むように金融機関に求めているが、どの業者でも等しく支援を受けることができるわけではない。たとえ仕事があろうとも不採算工事を多く抱えている建設業者に対する見方は厳しい。6月の建設業の倒産は前年同月比減少とはいえ、わずか1.1%の減少である(5月は前年同月比39.0%減)。今後、資本力の弱い下請け業者が淘汰されていく可能性は高く、それにより倒産件数が押し上げられるであろう。

このほかにも、個別の業種を見ていけば、今後、中小零細企業の淘汰を早め、企業倒産件数を押し上げるであろう不安要素は多い。倒産件数が前期比、前年同期比ともに増加となった道路貨物運送業関連では、軽油価格が6月最終週時点で11週連続の値上げとなり、前年の同時期と比べ10%以上上昇している(資源エネルギー庁)。また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業の主要業界団体が公表している売上高集計(既存店ベース)では4月、5月と2ヵ月連続で前年同月実績を割り込んだ。「1997年の消費税率引き上げ時よりも反動減は小幅」との声も聞かれるが、今回は更なる税率引き上げの可能性が高いため、1997年との単純比較はできず不安は残る。これらを加味すれば、2014年下半期も、企業倒産件数は増加懸念を払拭できないまま、一進一退の推移となるであろう。

経営コンサルタント。企業分析をもとに、採用・育成などの人材戦略を手掛けている。2000社を超える取材・インタビュー経験を有し、現在は約100のクライアント企業を抱える。経営者、人事担当役員・責任者から生の声を得ながら、「エコノミスト」「ダイヤモンド」等の週刊誌、「Wedge」「選択」等の月刊誌に幅広く執筆中。

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